◆飯田線往復の旅◆

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■1日目 【2009.10.29】  はれ
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背景:豊川稲荷
 終の住処、長谷の家の最寄駅はJR飯田線の「伊那市」です(車で約30分)。ここから終点の「豊橋」(愛知県)までのローカルな旅の計画を温め続けていました。
 そんな折、書店で見つけた「週刊鉄道絶景の旅No.8飯田線」なる本を手にする機会を得、一気に実行の運びと相成りました。

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 飯田線(辰野−豊橋間)は全線が単線で駅と駅の間が短いのが特徴です。全長195.7Kmに駅数が94あり平均駅間は2.1Kmという計算になります。
 今回の旅では、終点の「豊橋」まで直行(南下)して折り返し、飯田線の各駅をじっくりと眺めながら北上するという計画で、2泊3日の旅程を組みました。

 伊那市から飯田までは各駅停車で約1時間30分かかります。この間は北アルプス、南アルプス・伊那山地の大パノラマが見られる絶景の区間なのですが、あいにくこの日は霞がかかっていました。大パノラマこそ満喫できなかったけれど、車窓に展開する天竜川沿いの秋の風景を眺めながらローカルな旅情に浸ることができました。

 飯田からは「特急ワイドビュー伊那路2号」に乗りました。終点の豊橋まで約2時間半、普通列車を利用した場合よりも1時間ほど時間短縮になります(えっ、たったそれだけ?そう、飯田線は急カーブが多く出せるスピードにも限界があるんですって)。
 平日ということもあってか座席指定の車内の人影はまばら。車掌さんの了承を得てテーブル付きの一番いい席に移って車窓に展開する外の景色を楽しむことにしました。
 ところが、この後「えっ、何これ?」をいやというほど連発させられる事態に遭遇しました。飯田線の特徴がまだあったんですよ。何かって?それはトンネルです。その数(138箇所)といい長さ(飯田線最長の大原トンネルは約5Kmもあります)といい半端ではありません。
 秋の渓谷美を撮ろうとビデオカメラを構えていたのですが、飛び込んでくるのはトンネルの闇ばかりで、思い通りの映像はほとんど撮れませんでした。
 予めトンネルの長さとそれが途切れる区間を十分に下調べしておけばよかった−−まさに『後悔先に立たず』です。

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 豊橋へ到着して待つこと15分弱で、北上する列車(各駅停車)が発車しました。さあ、飯田線散策の開始です。
 1日目の宿のある「湯谷温泉」駅までの沿線で、途中下車をする駅(ビューポイント)に選定したのは「豊川」と「江島」です。

 ゆっくりと落ち着いている暇もなく(12分程で)豊川に着いてしまいました(豊橋からは5つ目の駅です)。駅からほど近い「豊川稲荷」を訪れました。境内のベンチに腰をかけて入口のお店で買っておいた「稲荷寿司」を頬張る。人影はやはりここもまばら。
 本殿はなにやら工事をしている様子で聞いてみると、来月から年末年始の例祭に向けての工事で参拝者の通路となる階段の補強をしているのだとか。やがてどっと押し寄せる人の波を想像してみたりしました。

 江島は『心(しん)』の原風景のある処です(豊川から北へ3つ目の駅で、時間にして14分程)。ここで暮したのは生まれてから5歳になる少し前までの間でしかないので残っている記憶はとぎれとぎれです。
 駅は今でも無人でした。ふっと、50年以上も前の線路の記憶が脳裏をかすめていきました。それは赤茶けた砂利の上の枕木に敷かれた錆びたレールです。一瞬、当時の頃にタイムスリップしたような不思議な感じがしました。
 駅から山奥に1時間ほど入って行った処(北方に見える小高い山、本宮山<ほんぐうさん、789.2m>の麓)との記憶だけを頼りに、無人の踏切を横切り、周りの風景を確かめながら歩きました。
 道路は舗装され、道の両側には立派な家々が立ち並び、昔の面影を残すものを探すのに苦労しました。「峠の茶屋」という古びた標識に目がとまりその方向に吸い込まれるように歩いて行くと、木造りの一軒の家が建っていました。
 一休みしながら茶屋の奥さんに訪ねてみました。この茶屋は建てて7年ほどとのこと。そして、昔からの開拓農民が住んでいる処はもう少し奥に入ったところだという朗報を得ることができました。
 でも、時間切れでもう引き返さなければなりません。あ〜あ、せっかく間近まできているのに−−ここでもまた『後悔先に立たず』...。

 江島から12駅目、約50分で湯谷温泉に到着。薄明かりの道を歩くこと数分、今日の宿「松風苑」に着きました。

飯田駅・ワイドビュー伊那路の発着駅飯田駅・ワイドビュー伊那路の発着駅 テーブル付きのボックス席テーブル付きのボックス席 セミコンパートメントとかセミコンパートメントとか 豊川駅前のキツネの像豊川駅前のキツネたちの像 門柱上におわすキツネの銅像門柱上におわすキツネの銅像 峠の茶屋(江島)峠の茶屋(江島) この奥に開拓地集落が...この奥に開拓地集落が...
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